「ぐりとぐら」はもう表紙が取れてしまうほど愛読してくれて、テープで修理しての繰り返しだった。
物語、図鑑、理科シリーズ、童話、絵本などポケットマネーで本を買い足して,やりくりしていた。
そのうち、塾生でない地域の子供たちも借りに来るようになった。
紙芝居を作ったり、読み聞かせをしたり、自分たちでお話を作るようになれればと、指人形作りを子供たちに教えた。
そのうち童話を創る子供があらわれた。
子供の頭の中の想像力は大人のそれよりも柔軟で面白い物語をたくさん作ってくれるようになった。
ぼろぼろになった本を修理すると、それを待っていたかのように胸に抱っこして持ち帰る子供の姿を思い出す。
入浴中にくも膜下出血になり、手術をし後遺症もなく今に至るが、塾は生徒第一号の子に譲って引退した。
まだ小さな女の子だった、たった一人の生徒だった彼女に、塾と子供文庫を譲ることができて本望だ。
塾を引退する時は生徒数は200人になっていた。たった一人の生徒から200人まで増えた月日を想うと感慨深い。
本を愛する子供たちが増えるといいなあ!